愛知県尾張旭市のふるさと納税において、2025年度に最も多くの申し込みを集めた返礼品は、オンラインショップ「tsumugidoko(ツムギドコ)」が手がけるクッキー缶であることが明らかになった。同市南原山町にある工房で、菊地美玖さん(29)が一つひとつ丁寧に手作りしているこのクッキー缶は、サクサクとした軽やかな食感と、やさしい甘さが特徴で、多くの寄付者から高い支持を得ている。
夢を叶えた若きパティシエの挑戦
幼い頃から「ケーキ屋さんになるのが夢だった」という菊地さん。その原点は、家族と訪れた市内の洋菓子店「ハンプティーダンプティー」への憧れだ。「キラキラしてきれいで、おいしそうで…。自分も作りたいと思った」と振り返る。大学で管理栄養士の資格を取得後、名古屋市西区の洋菓子店に就職。焼き菓子の製造や販売を経験し、2023年6月に独立した。
実店舗は持たず、オンライン販売のみで事業を展開。祖父母が暮らしていた家を改装し、オーブンを設置した工房で、製造から包装、ラベル貼りに至るまで、すべての工程を一人で行っている。ショップ名「tsumugidoko」には、「自分のお菓子を通じて、手の届く範囲で縁をつむいでいきたい」という願いが込められている。
こだわりの味と品質
クッキーで最も重視しているのは、口に入れると優しくほどけるようなサクサク食感だ。「贈り物に選んでくれる方もいる。割れていたら悲しいから」と、自宅に何度も配送して缶の中を確認し、軽い食感を保ちながらも割れにくいレシピを追求してきた。ココナッツやアールグレイなど7種類の味をぎっしりと詰め込み、日常的に食べたくなる控えめな甘さにもこだわっている。
ふるさと納税返礼品としての採用
返礼品としての採用は2024年6月から。きっかけは、中学・高校の同級生が市の産業課の担当者だったことだ。市内56事業者が提供する158品目の中から、356件の申し込みを集めて見事1位に輝いた。このクッキー缶(寄付額9,000円)のほか、マドレーヌ(同7,500円)やレモンのパウンドケーキ(同8,500円)なども返礼品として用意されている。
2025年5月18日に市役所を訪れた菊地さんは、「ふるさと納税といえばホタテやお肉など、その地域にしかない特産品のイメージがあったので、素直に驚いています」と笑顔を見せた。また、「感動的においしくて、衝撃を受けた」と絶賛する柴田浩市長は、「体調に気を付けて、これからもふるさと納税に貢献していただければ」とエールを送った。



