フランス・パリ郊外のサンドニにある大聖堂で、非白人系住民の大規模な強制送還を求める横断幕が掲げられる事件が発生した。これに対し、同市の黒人市長バリー・バガヨコ氏(52)は激しい怒りを表明し、「憎悪」に基づく行為であると非難した。
事件の概要
6月11日朝、歴代のフランス国王・王妃が埋葬されていることで知られるサンドニ大聖堂の正面に、「リマイグレーション(逆移民)」という極右概念を掲げた横断幕が垂れ下がっているのが発見された。この横断幕は、極右団体「オブジェクティブ・リマイグレーション」によって設置されたもので、同団体の広報担当者はSNSに投稿した動画で、自らの行動を正当化する主張を展開した。
動画の内容
動画の中で広報担当者は、「西暦732年にイスラム教を奉じるアラブ人の侵略を阻止したシャルル・マルテルの墓の近くで、自分たちの伝統を再確認している」と述べた。シャルル・マルテルはメロヴィング朝フランク王国の宮宰であり、トゥール・ポワティエ間の戦いでウマイヤ朝の西欧征服を阻止したことで知られる。彼の墓はサンドニ大聖堂にある。
バガヨコ市長の反応
西アフリカ・マリ出身の両親のもと、サンドニで生まれ育ったバガヨコ市長は、横断幕の設置を「憎悪」に基づく行為と断じ、動画内の主張を「極めて深刻だ」と非難した。急進左派の立場をとる同市長は、AFPの電話インタビューで次のように語った。
「サンドニが標的とされたのは、人種差別主義者たちが憎むものを体現しているからだ。サンドニは歴代のフランス国王・王妃の街という歴史を持ちながら、長年にわたる移民の融合の結果として成り立っている街だ。」
市長は市として法的措置を取る意向を示し、すでに市役所には人種差別的な嫌がらせの電話が殺到しているという。
人種差別の激化
バガヨコ市長は、かつて植民地大国だったフランスで人種差別が激化していると指摘。3月の市長選以降、自身とスタッフは人種差別的な偽情報やコメントの標的となっており、一部を放映したケーブルテレビ局Cニュース(フランス版FOXニュースと呼ばれる)を提訴している。
サンドニは労働者階級が多く、外国にルーツを持つ住民が多数暮らす地域であり、今回の事件はフランス社会の深い分断を浮き彫りにしている。



