時は辛亥革命期。定住の家も姓も持たない日雇い労働者の阿Qは、周囲から馬鹿にされ惨めな敗北を喫しても、脳内で勝利に変換する独自の思考「精神的勝利法」でかろうじて自尊心を保っていた。しかし、その歪みと現実逃避により、彼は取り返しのつかない破滅へと追い詰められていく。
第3話あらすじ:女中の優しさに勘違いし暴走
阿Qは、女中から受けた何気ない優しさを「自分に気がある」と誤解。ある日、彼女に向かって「俺の子を産んでくれ!」と叫び、暴走する。この行動が原因で職を失い、さらなる転落の一途をたどる。阿Qの歪んだ自己認識と現実逃避が、悲劇的な結末を招く様子が描かれる。
『阿Q正伝』の魅力
一人の男の滑稽で哀しい生涯を通じて描き出されるのは、当時の中国社会。世界中で翻訳され、今なお鋭い風刺として色あせない魯迅の代表作を、漫画で知り尽くすことができる。KADOKAWA Masterpiece Comics『阿Q正伝』から第3話をお届けする。
本作は、シイザクヤが漫画化を手がけ、原作は魯迅。単行本も好評発売中だ。
著者プロフィール
シイザクヤ:漫画家。2021年、『アポロ』がアフタヌーン四季賞「沙村広明特別賞」を受賞。その他にも「となりのヤングジャンプ」にて『ラストサービス』、「月刊コミックビーム」にて『生贄界隈地雷ちゃんず』などを発表。
魯迅(ろじん):1881年浙江省紹興生まれ。本名、周樹人。20歳の時に日本へ留学したのち革新思想に目覚め、清朝による異民族支配を一貫して批判。27歳で帰国し、教職の傍ら、鋭い現実認識と強い民衆愛に基づいた文筆活動を展開。『狂人日記』『阿Q正伝』『故郷』など著作多数。1936年逝去。
前回の第2話では、高い自己評価と裏腹に喧嘩に連敗する阿Qが、尼さんへの嫌がらせでうっぷんを晴らそうとする姿が描かれた。第1話から続く阿Qの破滅への道筋を、ぜひ漫画で追ってほしい。



