NTT西日本とJR西日本が共同で進める、光ファイバセンシング技術を活用した線路モニタリングの実証実験について、その成果が「第2回 鉄道技術展・大阪2026」で公開されました。この技術は、線路に並行して敷設された通信用光ファイバを振動センサーとして利用し、約30kmもの長距離をリアルタイムかつ高精度に監視するものです。2030年代前半の実用化を目指し、現在も検証が続けられています。
鉄道保守の課題と新技術への期待
鉄道会社にとって、安全走行に不可欠なメンテナンスを確実かつ効率的に実施することは大きな課題です。限られた時間内で目標を達成し、人手不足や増加する自然災害に対応するため、最新技術の導入が進んでいます。NTT西日本とJR西日本の取り組みもその一環で、2025年度から実証実験を開始し、今回の展示に至りました。
光ファイバセンシングの仕組み
この技術は、既に線路沿いに敷設されている通信用光ファイバに「光センシング測定器」を接続し、光が戻ってくる際の変化を解析することで、列車の位置や線路周辺の異物を検知します。NTTグループの基礎研究を基に開発され、JR西日本では多くの路線で光ファイバがブロック内に敷設済みであるため、実証期間中は装置の取り付けが容易です。
実証実験の成果
2023年度には、JR西日本東西線の約30km区間で1週間単位の測定を実施。列車の停車位置や発車タイミングを画像で可視化し、誤差1秒未満の高精度で検知できることが確認されました。また、振動データを色分け表示することで、列車の走行状態や駅停車の区別、さらには人の進入や落石の検知にも応用可能であることが示されました。実証実験では、意図的に人が線路を歩き、その振動データも収集されました。
今後の課題と展望
今回の実験で一定の成果が得られた一方、新たな課題も浮き彫りになりました。橋梁や架空区間では振動条件が異なるため、ノイズを低減するアルゴリズムの開発が必要です。また、路線が長くなるとデータ処理量が増大するため、システムの高度化も求められます。両社は今後、JR西日本の和歌山線で約6カ月間の長期現地測定を計画。気温や気象による振動特性の変化も分析します。
実用化に向けては、検知データの通知方法や対応手順の設計も重要です。少人数で適切に対応できるUIを含めたシステム設計の検討を始める予定です。この技術は2030年代前半の実用化を目指し、確立後はJR西日本以外の鉄道会社にも提供し、鉄道全体の安全性向上に貢献したいとしています。



