BS4K放送、5社が相次ぎ終了へ
2026年4月15日、BS-TBSは2027年1月24日以降の衛星基幹放送事業の認定更新を行わず、『BS-TBS 4K』の放送を終了すると発表した。既に先行する在京キー局系のBS放送は、4局が撤退を表明しており、時系列で言えば最後がTBSという形になる。
終了の理由は同じで、BSでは放送に必要な広告収入が得られなかったことだ。放送事業は免許制であるため、事実上の免許返上となる。
過去に例のない事態
過去に放送事業者が免許を返上した例は非常に少ない。記憶にあるのは、2021年に『ザ・シネマ4K』の運営会社である東北新社が、放送認定時に外資規制違反があったことへの処分として、事業者認定が取り消された例ぐらいである。ただしこれは取り消しであり、自主返上ではない。
それが5局いっせいに返上、放送事業終了というのは、日本人にとって初めての経験であるはずだ。
いつから出てきた話なのか
もちろん、その予兆はあった。2025年9月に、総務省『デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会・衛星放送ワーキンググループ第15回』での議論をベースに、撤退の可能性が整理されている。
その後、2025年11月に『デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会 衛星放送ワーキンググループ 第二次取りまとめ』が公表された。この取りまとめを紐解くと、『4K放送』というフォーマットを維持したい政策と、『衛星放送』というインフラ事業がうまくいかない民放との考えが、かみ合っていない様子がある。
取りまとめにはBS放送の窮状が盛り込まれ、映像コンテンツ制作支援も含めて何らかの政策的テコ入れが必要とされた。しかし民放放送を政府が資金援助する仕組みは存在しない。当然、2026年度の政府予算編成にも具体的に何も組み込まれなかった。
4Kの現状と課題
そもそも、『魅力的なコンテンツがあれば成功する』という前提は、正論ではあるが先は長い。4Kという高解像度を生かしたコンテンツなどと言うが、そんなことを言っている時点で考え方が古い。
手のひらに入るスマートフォンやアクションカメラでさえ4K解像度で撮影でき、ネット配信でも4K・HDRが当たり前ではない現代において、すでに4Kは撮影・制作の基本フォーマットである。一部伝送ビットレートなどの都合で、最終的に旧フォーマットであるHDを利用しているだけだ。
衛星放送というインフラを維持したいのであれば、最適解は地上波番組の4Kサイマル放送だ。多くの人は同じ番組が高解像度で見られるなら、わざわざ地上波を見る必要はない。
ただそうなると、地上波地方局の不要論につながる。これは民放連が許容しない。民放の力だけで日本中をカバーするという、テレビ放送初期の手法をこれまで維持してきて、地域産業の要となっている放送局も多い。インターネットの高速回線が世界中をカバーする中、方法論としては時代遅れなのは間違いない。だが日本全国各地方のテレビメディア産業を維持するためには、衛星放送を見捨てるという選択をする以外にない。
『ニューメディア』の旗手だった衛星放送
衛星放送はかつて、多チャンネル時代の象徴として期待された。しかし、インターネット配信の台頭により、その役割は変容した。4K放送も、コンテンツの差別化が難しく、視聴者の関心を引き続けることができなかった。
今回の一連の終了は、放送と通信の融合が進む中で、従来の放送ビジネスモデルの限界を示している。今後の放送制度の在り方について、さらなる議論が必要だろう。



