QRコード決済が急速に普及する中、中国発の決済アプリ「ウィーチャットペイ」と「アリペイ」が日本でも広く使われています。しかし、これらのアプリを介した取引が日本の税務当局や金融監視機関の把握を逃れ、深刻な問題を引き起こしていることが明らかになりました。
中国系決済アプリの構造的問題
ウィーチャットペイやアリペイは、中国のテンセントやアント・グループが提供する決済サービスで、日本国内でも多くの店舗で利用可能です。しかし、これらのアプリでは、日本国内での取引であっても、中国国内のアカウント間で資金移動が完結する仕組みになっています。その結果、売り上げが日本の税務当局に捕捉されず、銀行や金融庁も資金の流れを把握できないケースが多発しています。
白タク問題との関連
この問題が顕著に表れているのが、成田空港などでの白タク(無許可営業の自家用車による旅客運送)です。2023年の読売新聞の報道によると、白ナンバーの車から中国語を話す男性が降り、ドライバーは「友達を案内していた」と主張し、現金のやり取りがないため摘発が困難です。中国語対応の配車アプリで予約から決済まで完結し、ウィーチャットペイやアリペイを利用すれば、日本の銀行口座を介さずに取引が成立するため、捜査当局は立件のハードルが高いと指摘しています。
マネーロンダリングの温床
こうした不透明な取引は、マネーロンダリングや脱税の温床となっています。片山さつき財務大臣兼内閣府特命担当大臣(金融担当)は今年3月、課税の捕捉が困難である点と、マネーロンダリング対策の不備を指摘しました。国税当局でも、実際に商売を行っているのに納税の形跡がないケースが確認されています。
違法ツアーと医療ツーリズム
さらに、中国系決済アプリは、違法な格安ツアーや医療ツーリズムでも悪用されています。タイなどで催行される格安ツアーでは、土産購入を拒否した観光客が置き去りにされる事例も報告されています。また、整形クリニックなどで巨額のマネーロンダリングが行われ、医療ツーリズムが不正の温床となっている実態も明らかになっています。
国際標準との乖離
ウィーチャットペイやアリペイは、国際的な決済の標準からかけ離れた運用がなされており、詐欺疑惑も放置されているとの指摘があります。銀行ですら金の流れが分からない状況では、日本の金融システム全体の信頼性が損なわれる恐れがあります。
片山大臣は、これらの問題に対処するため、監視体制の強化や国際協力の必要性を訴えています。日本経済を守るためには、中国系決済アプリの透明性を高め、適切な規制を導入することが急務となっています。



