スマホ依存を断つ行動経済学の仕掛け:充電コード短く、画面白黒に
スマホ依存を断つ行動経済学の仕掛け

スマートフォンを見る無駄な時間を減らすには、どのような方法が効果的なのでしょうか。行動経済学の専門家で青森大学客員教授の竹林正樹氏は、「必要なのは根性や我慢ではなく、充電場所を変える、画面を白黒にする、SNSを開きにくくするなど、小さな手法を積み重ねることで行動は大きく変わる」と指摘します。

起きてすぐスマホを見ると疲れが溜まる

「直感」はとても単純です。起きてすぐのぼんやりした時間に「なんだかいい朝だ」と感じられれば、その日一日をポジティブに過ごせるようになります。しかし、現実はなかなかそうはいきません。目が覚めた瞬間、反射的にスマホを手に取り、SNSやニュースなどを見てしまう人が多いのです。これは「現在バイアス」と呼ばれる、目先の欲に弱く、将来の利益より今の快楽を優先してしまう心理的な傾向によるものです。

大量の情報が目に入ると、寝ぼけたままの直感を混乱させ、一気に疲れが押し寄せます。理想的なのは、寝室にスマホを持ち込まないことですが、「緊急の連絡が来るかもしれない」「ワンルームだから寝る場所とスマホの距離が取れない」などの問題もあり、難しいものです。

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アナログの目覚まし時計に変えると…

そこで竹林氏が勧めるのが、スマホの充電コードを短いものに変えることです。これは「逆アクセスナッジ」と呼ばれる、望ましくない行動にアクセスしにくくして遠ざける設計です。コードが短くなることで、スマホはコンセントの近くにしか置けなくなります。結果として、ベッドの中でスマホを使うことがなくなり、「気がついたら手にはスマホ」という状態から解放されます。さらに、コードが短いと絡まりづらく、見た目もすっきりします。

これにより、物理的にも心理的にも、スマホとの距離を自然に作ることができます。毎朝スマホのアラームで起きているという人は、思い切って「アナログの目覚まし時計」を買うのが良いでしょう。すぐに買えない場合は、解約したスマホやガラケーで代用することもできます。スマホのアラームを目覚ましにしていると、起きた瞬間に手に取り、そのままニュースやSNSに流れてしまう望まない動線ができてしまいます。アナログの目覚まし時計を使えば、スマホに触れる理由が一つ減り、朝の時間を自分のために取り戻すことができます。音だけで確実に起きることができ、余計な誘惑は一切ありません。これこそ、直感に優しいナッジです。

スマホを手放せないのは仕掛けがあった

スマホを手放せない原因は、私たちの意志の弱さだけではありません。スマホアプリやSNSは、ユーザーを引きつけるように巧妙に設計されています。例えば、プッシュ通知や「いいね」の機能は、脳内でドーパミンを放出させ、依存状態を引き起こします。これを断つには、まずは物理的な距離を置くことが効果的です。充電コードを短くする以外にも、スマホの画面を白黒に設定する方法があります。カラー画面に比べて刺激が減り、無意識にスマホを見る回数が減ることが研究で示されています。

決まった時間に電源を切ることの効果

さらに、決まった時間にスマホの電源を切ることも有効です。例えば、就寝1時間前には電源をオフにし、寝室にはスマホを持ち込まないようにします。これにより、睡眠の質が向上し、翌朝の目覚めも良くなります。また、仕事中や勉強中はスマホを別の部屋に置く、あるいは「おやすみモード」を活用することで、集中力を高めることができます。

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夜は感情的になりやすい時間帯

夜の時間帯は特に注意が必要です。夜になると、私たちは感情的になりやすく、衝動的な行動をとりがちです。SNSでのネガティブな投稿や、深夜のネットショッピングなどは、後悔する原因になります。夜間はスマホの使用を控え、リラックスできる活動(読書やストレッチなど)に切り替えることで、心身の健康を保つことができます。

竹林氏は、「自制心ではなく、仕組みでスマホとの上手な距離を保つことが重要」と強調します。小さな工夫を積み重ねることで、スマホ依存から解放され、より充実した時間を過ごせるようになるでしょう。