ロボット開発企業の米Boston Dynamicsは5月19日(現地時間)、人型ロボット「Atlas」が小型冷蔵庫を持ち上げて運ぶ映像を公開した。強化学習によって、様々な条件下で物体を確実に把握・操作する適応力を獲得したという。
映像で見せる高度な動作
映像では、Atlasが胴体を180度回転させ、しゃがんで小型冷蔵庫を持ち上げ、エンジニアの元へと運ぶ一連の自律的な動作を披露している。このロボットは工場や倉庫、建設現場などで耐久性・機動性・汎用性が求められる作業に対応する「物理作業向けの汎用ツール」として設計されており、今回の実験はハードウェアと動作制御の両面における進歩を示すものだとしている。
従来技術の限界を克服
同社によると、これまで最先端とされてきたロボット技術の多くは、環境理解や制御をカメラからの情報に過度に依存しており、指標などの限定的な部分でしか物体にアプローチできないため、軽量な作業にしか対応できていなかった。しかし、実際の重量作業では、両腕で箱を抱えたり、腰を落とした姿勢で重いものを持ち上げたりするなど、身体全体を活用した「身体的知能」の拡張が必要となる。
同社が今回の実験対象に「冷蔵庫」を選んだのは、まさにその拡張した能力を証明するためだという。冷蔵庫を持ち上げるには、ただ見て手を使うだけでなく、重さを予測して体を傾け、形状に合わせて身体を動かし、実際に持ち上げられるかを確認する準備が必要になる。
強化学習による適応力の獲得
Atlasは強化学習を用い、シミュレーション上で物体の位置や質量、床のグリップ力、物体を持った際に胴体、腕、手の間にどう配置されるかなど、膨大なバリエーションの訓練を重ねることで適応力を獲得。その結果、冷蔵庫を的確に持ち上げられるほどの高い実用性を実現した。この位置や動きを熟知する能力は、製造現場における作業でも重要なベンチマークになるとしている。
ハードウェアの進化
また、今回使用したAtlas(おそらく2026年頭に発表された量産モデル)のハードウェアには、大規模な開発を見据えたシンプルさと信頼性も兼ね備えている。関節部を横切るケーブルをすべて排除したことで、アクチュエーター(駆動装置)の無限回転が可能となり、故障リスクを低減。さらに、腕、脚、手、頭部はすべて現場で数分以内に交換可能なユニット構造になっているなど、実用面において多くのメリットがあるという。



