Flipper Devicesは5月21日(現地時間)、セキュリティ研究者向け多機能ガジェット「Flipper Zero」の開発元が、新製品「Flipper One」を発表した。Flipper Oneは、NFCや赤外線などの近距離プロトコルに特化したFlipper Zeroとは異なり、Wi-FiやEthernet、5Gなどのネットワークスタックを扱うオープンなLinuxプラットフォームとして位置づけられており、両製品に上位・下位の関係はなく、それぞれ異なる用途向けに設計されている。
Flipper Oneのハードウェア構成
ハードウェアには、中国Rockchip製の8コアSoC「Rockchip RK3576」と、英Raspberry Pi開発の「RP2350」マイクロコントローラを組み合わせたコプロセッサ構成を採用。RK3576は8GBのRAMとNeural Processing Unit(NPU)を搭載し、ローカルでのLLM実行にも対応する予定。RP2350はディスプレイや電源管理、ボタン入力を制御し、Linux非起動時でもデバイスを操作できる点が特徴だ。
ネットワーク機能と拡張性
ネットワーク機能はGigabit Ethernet×2、Wi-Fi 6E(2.4/5/6GHz)、USB Ethernetを標準搭載。M.2モジュール経由で5GやLTE、衛星通信(NTN)の追加も可能。背面カバー内にM.2モジュールを搭載し、5GモデムやSDR、SSDなどを追加できる。
開発者ポータルとコミュニティ連携
同社は、製品の完成を待たずに開発プロセスそのものを公開する「Flipper One Developer Portal」も立ち上げた。内部の設計ドキュメントや議論、未完成の仕様書を含むWikiを一般公開し、ハードウェア、Linuxカーネル、ファームウェア、UIなど各分野でコミュニティからの貢献を募っている。また、Linuxカーネル開発企業の英Collaboraと協力し、RK3576の完全なメインラインカーネルサポートを目指しているが、RAMチップの調達問題など予算および技術面のリスクも抱えており、CEOのパヴェル・ゾフナー氏は「率直に言って、私たちは本当に怖い思いをしている」と語った。
Flipper Devicesはロシア出身のエンジニア、パヴェル・ゾフナー氏が創業したハードウェアメーカーで、現在はドバイに拠点を置く。主力製品Flipper Zeroは、セキュリティ研究者やハードウェア愛好家を中心に人気を集め、2020年のKickstarterキャンペーンで約480万ドルを調達して製品化し、これまでに約100万台、累計1億5000万ドル超を売り上げた。



