米国政府は、世界的な半導体不足に対処するため、台湾積体電路製造(TSMC)や韓国のサムスン電子など主要半導体メーカーに対し、顧客情報や在庫データなどの詳細な情報提供を求める異例の要請を行った。この動きは、半導体サプライチェーンの透明性を高め、供給逼迫の原因を特定する目的があるとされる。
要請の背景と内容
バイデン政権は、自動車産業や家電製品など幅広い分野で深刻な半導体不足が続いていることを受け、サプライチェーンの実態把握を急いでいる。商務省は9月、半導体メーカーや自動車メーカーなどに対し、半導体の在庫、需要、供給に関する情報を自主的に提出するよう要請。しかし、十分な協力が得られなかったため、強制的な情報提出を求める方針に転じた。要請には、主要な顧客名、各製品の在庫状況、生産能力、今後の生産計画などが含まれており、企業にとっては極めて機密性の高い情報の開示が求められる。
企業側の反応
TSMCやサムスンなどは、顧客情報の開示が競争上の優位性を損なう可能性があるとして懸念を示している。特にTSMCは、アップルやAMDなどの主要顧客との関係に影響が出ることを危惧。一方、インテルなど米国企業は、情報開示に前向きな姿勢を見せており、業界内で温度差が生じている。韓国政府もサムスンなど国内企業の情報保護を求めて米国と協議中で、情報開示の範囲や方法について調整が続けられている。
半導体不足の現状
半導体不足は、新型コロナウイルス感染拡大に伴うデジタル需要の急増や、工場の操業停止などが原因で長期化している。自動車メーカーは減産を余儀なくされ、ゲーム機やスマートフォンなどの生産にも影響が出ている。米国政府は、半導体の国内生産強化を目指しており、先月には半導体工場建設に対する補助金制度を発表。しかし、短期的な不足解消には時間がかかるとみられ、情報収集による迅速な対応が求められている。
今後の見通し
米国政府は、11月8日までに情報提出を求めているが、企業が従わない場合には、 subpoena(召喚状)の発行など法的措置も検討している。業界団体は、情報の機密性を確保するためのガイドライン整備を要請しており、今後の動向が注目される。半導体不足の解消には、新たな工場建設など中長期的な対策が必要だが、まずは現状把握が優先される。



