スペースXがNASDAQ上場、史上最大級のIPO
宇宙開発企業スペースX(SPCX)が6月12日、NASDAQに上場しました。史上最大級のIPOとして市場の注目を集める一方、「今からでも買うべきか」と悩む個人投資家も少なくありません。しかし、米国株投資スクール「Financial Free College」代表講師の金盛潤一(ライオンじゅんさん)氏は、「焦って飛びつく必要はない」と指摘します。投資家が本当に注目すべきポイントとは何でしょうか。
2倍高騰なら「買い場」はまだ先
大型IPOの初日は、企業の実力以上に投機的な資金の流れで価格が決まりやすいものです。特に世界中から買い注文が集まる本日は、想定外の乱高下が起きても不思議ではありません。
「最も理想的なのは公開価格の135ドル付近で拾うことですが、現実的にはかなり難しいでしょう。初値が公開価格の20~30%高程度に収まれば買いを検討できます。ただ、問題は2倍近くまで暴騰した場合です。そこで無理に高値をつかみにいく必要はなく、上場後初めての決算発表を待つのが賢明だと思います」(金盛氏)
未上場企業が初めて開示する決算は、実態を冷静に見極める大きな材料となります。成長率や「スターリンク」の収益、利益率、AI事業の進捗を確認してからエントリーしても遅くはないでしょう。
S&P500・オルカン投資家を襲う“資金抜け”
一方で、個別株には投資せず、S&P500や全世界株式(オルカン)などの投資信託を毎月積み立てている人にとっても、スペースXの上場は対岸の火事ではありません。「これだけの超大型銘柄なら、指数に組み入れられて基準価額も一気に上がるのでは」と期待する声もありますが、実態は少し異なります。
「S&Pダウ・ジョーンズは、上場後12カ月の経過や黒字化、流通株比率などの要件を維持すると発表しました。つまり、『eMAXIS Slim 米国株式』といったファンドにスペースXが組み込まれるのは当分先の話です。その反面、オルカンの指標となるMSCIには早期採用のルールがありますが、時価総額全体から見れば構成比率は数%未満にとどまるため、大きな損益のブレには直結しません」
インデックス投資家が本当に見るべきなのは、指数にいつ組み入れられるかではありません。市場全体で、どこからどこへ資金が動くのかです。
「機関投資家や個人が、これまで市場を牽引してきたエヌビディアやマイクロソフトなどのAI関連株を利益確定し、その資金をスペースXへ移す動きは十分考えられます。既存の主力銘柄から資金が抜けることによる下落リスクこそ、S&P500やオルカンを保有する人にとって最大の論点になるはずです」
世紀のIPOに市場が沸く本日。目の前の激しい値動きに振り回されず、自分のポートフォリオにどんな影響が及ぶのかを冷静に見極める姿勢が求められています。



