トンボ鉛筆が3月に発売したシャープペンシル「FUMI」(2200円)は、個人的には今年のナンバーワン筆記具と言っても構わないほど新しい。機能は通常の0.5mmシャープペンシルなのだが、持った瞬間に「新しい」と感じるほど、その持ち心地が心地よいのだ。
新素材NAGORIがもたらす独特の感触
トンボ鉛筆のシャープペンシル「FUMI」は2200円。軸径0.5mm、軸に新素材「NAGORI」を採用した世界初の筆記具となった。※NAGORIは三菱化学グループ会社の登録商標です。その感触を生んだのが、筆記具の軸の素材としては初めて使われた、三菱化学の「そざいの魅力ラボ MOLp(モル)」という有機活動の中の気付きから生まれた新素材「NAGORI」だ。まるで陶器のようなひんやりとした温度感とサラリとした触感は、これまでの筆記具では感じたことがないものだった。
万年筆だと、インクがいいとか、エボナイトがいい、いやベークライトだ、樹脂だ、セルロイドだ、天然木だと、軸の素材にこだわる方も多く、メーカーもそれに応えるように、様々な素材の軸を使った製品を販売している。最近では木軸のシャープペンシルが人気だったり、高級ボールペンではアルマイト加工やステンレスの切削加工など、高度な工芸技術を使った凝った軸も登場した。
今回、FUMIを使っていて、この軸の触り心地、持ち心地の良さを味わいたいと思ったからなのか、いつの間にか他の筆記具より使用頻度が増えていることに気がついた。高級万年筆だけでなく、普段使いの筆記具には、「気持ちいい軸」という選択肢もあるのかもしれないと思ったのだ。
例えば、LAMYの新作「LAMY Safari KURUTOGA inside」のようなツルッとした軸も、射出成形によるもの。樹脂軸の可能性は意外に大きいのだ。もちろん、手で触れて使う道具なのだから、その素材に好き嫌いがあるのは当然だし、機能的な部分や生産性の部分など、考えなければならない要素も多い。その意味では、現在、多くのボールペンやシャープペンシルで使われているプラスチックなどの樹脂は、成形しやすく、安価で、ツルツルした感触も悪くなく、デザインの自由度も高いし、着色した際の発色も最近はとても良くなっていて、軸の素材として何の文句もない。
樹脂軸の進化と多様性
オーダーメイド万年筆専門店の「万年筆舎」(長野県長野市)で作ってもらったエボナイト軸の万年筆。万年筆の軸なら、エボナイトが好きだ。ゴム由来の素材らしく、手への当たりが柔らかく、手に吸い付くようにしっかりグリップするから書きやすい。コーティングに漆が使われているなら最高だけど、磨いただけのエボナイト軸のグリップ感の良さは、他では味わえない。ただ、ちょっとゴム臭いあの匂いが苦手なのと、コーティングなしのエボナイトは、ケースに入れずに放置すると変色するのが難しかったりする。
軸の素材もさまざま。多種多様な素材が使われており、それぞれに特徴がある。例えば、金属軸は高級感があり、耐久性も高いが、重くなりがちだ。一方、木軸は軽くて手に馴染みやすいが、割れやすいという欠点もある。樹脂軸は軽量で加工しやすく、カラーバリエーションも豊富だ。
最近では、環境に配慮した素材を使った製品も増えている。例えば、再生プラスチックや生分解性プラスチックを使った筆記具も登場している。また、竹やコルクなど、天然素材を使った製品も人気だ。
FUMIの新素材NAGORIは、陶器のような質感を持ちながら、軽量で割れにくいという特徴がある。これまでの筆記具にはない、新しい感触を提供している。この素材は、三菱化学が開発したもので、筆記具以外にも様々な用途が期待されている。
筆記具は、書くための道具であると同時に、所有する喜びや使う楽しみを与えてくれる。素材にこだわることで、その価値はさらに高まる。FUMIは、そんな素材の可能性を感じさせる製品だ。



