「酒を飲むと顔が赤くなる」体質は収入を左右する? 東大などが調査
酒で顔が赤くなる体質と収入の関係を調査

東京大学、一橋大学、ソウル国立大学、国立台北大学に所属する研究者らが2023年に『Health Economics』で発表した論文「Is Asian flushing syndrome a disadvantage in the labor market?」は、アルコール不耐性の有無が収入や労働時間といった労働市場における成果に影響を与えるかを調査した研究報告だ。

アジアンフラッシュ症候群とは

東アジアの多くの人々は、遺伝的な要因によってアルコールをうまく分解できず、飲酒により顔が赤くなる「アジアンフラッシュ症候群」を経験する。日本、韓国、台湾などでは、同僚や取引先との良好な関係を築くために飲み会などの飲酒を伴うコミュニケーションが不可欠だという見方が根強い。そのため、アルコール不耐性がないことは労働市場において不利に働くのではないかという疑問が生じる。この仮説を検証するため研究チームは、日本、韓国、台湾の25~59歳の就業男性を対象に独自の調査を実施し、遺伝的なアルコール不耐性が所得や労働時間に与える影響を分析した。

調査方法

調査は日本で約2000人、韓国で約1000人、台湾で約500人の男性を対象に行われた。アルコールに対する遺伝的不耐性を測定するため、対象者にはアルコールパッチテストを実施してもらった。これは、エタノールを染み込ませたパッチを上腕の内側に20~30分間貼り付け、はがした後の皮膚の色の変化によって不耐性の度合いを判定する簡便な検査法だ。皮膚に変化が出ない人は「アルコール不耐性のあるタイプ」、赤く変色する人は「アルコール不耐性のないタイプ」に分類される。

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分析結果

分析の結果、アルコール不耐性のある男性は、不耐性のない男性に比べて高頻度かつ多量に飲酒していることが確認された。しかし、両者の間で収入や労働時間を比較したところ、統計的に有意な差は見られなかった。台湾については、不耐性のある男性が不耐性のない男性より11.5%多く稼ぐことが分かったが、この差は10%水準でわずかに有意であるにすぎなかった。

つまり、酒を飲める体質の人々がより多く酒を飲んでいるのは事実だが、それが高い所得や有利な労働条件に結びついているわけではないことが明らかになった。

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