週4日勤務「100:80:100モデル」の導入事例
新型コロナウイルスの流行を契機に、働き方の柔軟性やワークライフバランスの改善が世界的な課題となっている。その具体的な解決策として注目を集めているのが、「100:80:100モデル」と呼ばれる新しい週休3日制である。これは、従業員に対して従来通りの100%の給与を保証し、労働時間を80%に減らす代わりに、これまでと同じ100%の生産性を維持することを約束する仕組みだ。
この新しい働き方の実態と効果を探るため、オーストラリアでいち早く試験導入に踏み切った15の中堅・中小企業(物流、ソフトウェア開発、出版など)のリーダーたちに詳細なインタビュー調査が行われた。オーストラリアは比較的労働環境が整っているとされる国だが、デジタル化の弊害で仕事とプライベートの境界が曖昧になり、労働者の61%が燃え尽き症候群(バーンアウト)を経験しているという問題を抱えていた。
調査の結果、このモデルを定着させるには、経営陣がなぜこの制度を導入するのかという目的を明確に示し、同時に従業員自身が主体となって働き方を工夫するという、ボトムアップのアプローチが不可欠であることが分かった。また、生産性が低下したと答えた企業は皆無で、43%が「生産性が向上した」と回答し、57%は「生産性はほぼ変わらない」とした。
労働日数が1日減ることで、1時間あたりの作業スピードを無理に25%上げなければならないのではないかと心配されるが、実際にはそのような過度な労働強化は起きていない。長すぎる会議を削減するなどの非効率な業務プロセスを見直すだけで、従来の生産性は維持されていた。
さらに、働く日と休む日のメリハリがはっきりしたことで、勤務時間外に仕事を持ち込むことが減少し、従業員の生活の質は向上した。実際、今回の調査対象となった15社のうち14社が、試験期間が終わった後もこの「100:80:100モデル」を継続している。唯一導入を取りやめた1社は、COVID-19の影響と会社の方針転換の時期が重なり、従業員が2人しかいない極めて小規模な企業であったという事情によるものだった。
調査の背景と意義
この研究は、オーストラリアのディーキン大学やスウィンバーン工科大学に所属する研究者らが、Springer Nature発行の学術誌『Humanities and Social Sciences Communications』に発表した論文「The four-day workweek in Australia: insights from early adopters of the 100:80:100 model」に基づいている。本研究は、週休3日制を実際に導入した企業の生の声から、その効果や課題を分析した貴重な報告である。



