「別に好きだから好きなんじゃない?」――。女優の菅野恵が、俳優の吹越満と年の差夫婦役を演じた映画『鍵』の撮影を振り返った。年齢差を意識することなく役と向き合い、「安心感があった」と共演を語った。
菅野恵、映画『鍵』で年の離れた妻役を回顧
映画『鍵』の初日舞台挨拶が12日に都内で行われ、吹越満、菅野恵、新藤まなみ、丸純子、いまおかしんじ監督が登壇した。谷崎潤一郎の同名小説が原作の本作で、余命宣告を受けた剣持の年の離れた妻・郁子を演じる菅野は、原作との違いについて言及。「原作のほうが、奥さんが腹の中にいろいろ溜めて、実際は旦那さんじゃない人のところに最終的には行く……みたいな女の腹黒さがあったけど、この作品はすごく純愛、ピュアなお話になっている」と説明。続けて「その点は共感もしやすいし、見ていてジーンと温かくなるし、そういうところがいいなと思いました」と魅力を語った。
吹越満との年齢差29歳、撮影中のエピソード
年の離れた夫役を演じる吹越とは、実際に29歳差だというが、吹越が「そこまで離れている印象はなかったですね」と語ると、菅野も「周りの方に『年の差の夫婦でしたけど』と言われると、ああ、という感じですけど、やっている中では別に、年の差がどうとか……別に好きだから好きなんじゃない? という感じでやっていた」と明かし、「(吹越さんとは)めちゃくちゃ(撮影の)間でしゃべったわけではないですけど、安心感があった」と撮影を回顧。吹越も「ずっと前からお友達同士みたいな、知っている感じ」とうなずいていた。
映画『鍵』の見どころとメッセージ
最後にメッセージを求められた菅野は、「和気あいあいとした空気感が映っている映画だと思う」とし、「『谷崎、鍵……ふぅー』と今、身構えてらっしゃる方は、ゆるりと楽な態勢でご覧ください」とユーモア交じりに観客に呼びかけ、会場を和ませていた。
映画『鍵』のあらすじ
本作は、余命わずかな夫の妻への執着と純愛を赤裸々に描いたアンチプラトニック・ラブストーリー。夫婦の日記を交互に示す手法で性の深奥を描きだした谷崎潤一郎の『鍵』(新潮文庫)を原作に、嫉妬と執着に焦点を当て大胆なアレンジを加えたオリジナルストーリーとなる。
工務店を営む剣持耕三は医者に余命半年の宣告を受ける。歳の離れた妻・郁子を案じた剣持は、部下の木村と郁子を浮気させようと画策。「浮気だのなんだの揉めてるうちは、俺が死ぬってことを忘れるだろう」。そのことを知ってか知らずか、徐々に距離を近づけていく木村と郁子。思惑通りに事が運ぶも、どうしても郁子への想いを捨てきれない剣持は、身体の衰えとは裏腹に次第に嫉妬を募らせていく。さらに郁子の日記を盗み見ると、そこには木村の肉体に強く惹かれる郁子の気持ちが赤裸々につづられていた。「一日でも長く生きて郁子を抱きたい。もっともっと抱きたい」。死を前に燃え上がる男の執着と偏愛の行き着く先は……。



